不変という言葉はよく耳にするが、どの程度の時間を経ればそれを名乗るに至れるのだろう。
“不変のFマウント“
1959年に発売された一眼レフの名機NIKON Fの誕生と同じくしてスタートしたFマウントの歴史は、
昨年の9月までの60年間変わることなくニコンのカメラをデジタルに至るまで支え続けた。
59年の発売当時全盛だったライカを筆頭とするレンジファインダー機の時代を終わらせたとまで言われるNIKON F。
「昔はね、プロカメラマンは広角はライカ、望遠はFを使うって相場が決まってたんだ」
そんな話を新宿のカメラ屋のオーナーが話してくれた。
三角測距によってピント合わせを行うレンジファインダー機にとって、望遠レンズウィークポイントの一つだ。
ピントの精度を出すことができるのはせいぜい135mmまで。それ以上となると一眼レフの得意分野になってくる。
戦地などの過酷な条件下で
“落としても動いた” “水につけても動いた“
等々伝説を残してきたそんなカメラ。
今年ついにM型を買ってしまってからというもの、逆に頭の隅にちらつき続けてはいた。
買うならブラックペイント、初期型の日本光学ロゴ入り640番代。
ファインダーだけは後期のFtnがいいなー、なんて。
そんな都合のいいモノそんなに安くは手に入らないので、タイミングさえーなんて話していたのだが
数日前の夜、オークションで一台のカメラが目に止まった。
「初期型ブラック、傷なし、動作不良なし」
ここまで見て、まさか640番代なわけが…
あった、軍幹部右型に堂々とNIPPON KOGAKU TOKYOのロゴ
埃っぽくてスイマセン。これも憧れだった。
とは言ってもなの知れたショップの1円スタートだ、いくらになるかはわからない。
相場の半額も出せない程度の懐事情だったので、気休めのつもりで一回だけ入札。
気づいたら届いていた。
掌…はハッセルですね。ずっしり重い約1kg
棚からぼたもちという言い方があっているかわからないけれど、何故か手元に届いた。
動作良好、露出計もそこそこな値を示している。
そんなこんなでライカ、Fともにブラック持ちになってしまいました。
病気もいよいよ末期だなとつくづく…
え?このレンズはどうしたって?
そんなもん落札した瞬間から検索しまくったに決まってるじゃありませんか。
稲葉