kaddish development store

2019.10.27

伝言ゲーム

 

 

 

 

 

カメラは人の手を渡るものだったりする。

 

例えば僕の手元にある何台ものカメラも、以前は違う人が違う目的で使っていたはずの一台たちなわけだ。

 


知り合いの店員さんの愛機と私のDⅢ


 

 

知らない誰かが何らかの理由で手放し、それをまた誰かが買う。

壊れていたものを直したり、直せないから手放されたものを買った人が修理に出すこともあるだろう。

2019年現在、生産が続いているフィルムカメラは数えるだけになってしまった。

キヤノンが最後のフィルム一眼レフEOS1Vを生産中止したのが昨年のこと。

サポートは2025年までを予定しているそうだ。

 

つまり、いま世の中にあるフィルムカメラの数が劇的に増えるなんてことはこの先基本的になく

それどころか毎日減っていっているとも考えられる。

 

そんな中で、カメラ屋や他人ではなく知り合いに自分の使ってきたものを渡したいという気持ちが強くなってきている。

 

 

 

 


松村さんの手元へ行った503cx


 

 

 

 

嫁ぎ先を決めるのは少々エゴイスティックな行為かもしれないが、大切に使ってきたものを大切に使ってくれる人へ

必要としてくれている人に渡したいというのはごく自然な気持ちだと思っている。

カメラは機種ごとの個性だけじゃなく、個体が持つ個性もあるものだ。

個体の癖をわかりつつ使っている人は物好きには少なくない。

 

”巻き上げが1.2巻なんだよね笑” ”前の持ち主の三脚スレがしっかりあってさ”

 

当然それらは不良と呼ばれるものの一つかもしれないが、愛着を持って接されてきた痕跡のようにも感じる。

だからこそメンテナンスしてあげて、次の誰かに渡すことも、そういうものを愛好している一人としての努めだと思う。

 

 

 

 

 


彼が手にしているPENTAX67をこの日引き取った


 

 

 

それぞれがそれぞれの生活の中で相棒を選んで、思い思いに過ごしてきたことを考えると

傷一つ見る目も変わらないだろうか。

 

というわけで、新しいカメラを買いたいので誰か私のカメラを買ってください。

 

 

 

 

稲葉

 

 

 

 

 

 

https://kaddish.jp/blog/14363

2019.10.18

original

 

 

 

 

 

昨日Ashleyさんから取材していただいた制作風景の様子第一弾が公開された。


僕は写真に真剣に取り組むようになってまだ78年程度のキャリアだが、芸術学部生という特権で得てきた展示の機会や、周りで興味を持ってくれた大人たちのおかげで人前に作品を晒すということについて今やあまり抵抗がない。


 

しかしながら考えてみると、大学1年の時に初めて行ったグループ展の時などは、それが人生最後の展示かの如く悩みあぐねて眠れない夏休みを過ごしたことを覚えている。


 

福岡アジア美術館、福岡市美、東京ターナーギャラリー、東京上野の森美術館と、会場も様々経験していく中で、自分自身が撮ったものを最終的にどういう形で見てもらうことが作品のためになるのか、それは今も大きな課題の一つであるが、特に今回の取材をしていただいた作品に関しては実物を見てほしいという気持ちが非常に強い。


 

通常の写真作品と違い、引き伸ばしやトリミング、プリントといった行為を排除して制作される大型写真は、初めて見た時撮った本人である自分たちすらも驚きを覚えた。


 

ネガティヴからポジティブへの変換や、光そのものをセンサーに記録させるデジカメとも違う、それ自体がオリジナルであるということはなかなか本物を見てもらわないと伝わりづらいことだとも思っている。


 

しかし高い熱量をこめて製作してきた作品でも、日の目を見なければ誰からも評価の対象にはされない。


今回の取材は本当にありがたいことで、これをきっかけに多くの人にオリジナルの作品を見ていただける機会ができれば良いなと思っている。


 

 

記事はあと二回更新される予定なので、是非読んでみてください。


 


 

 

 

 

稲葉

 

 

 

https://kaddish.jp/blog/13766

2019.10.04

預ける

 

 

 

 

 


CONTAX G2 Biogon 28mm F2.8/DELTA3200


 

 

 

フィルムはタイムカプセルみたいだ。


記憶を物質にして、一回預けて


帰ってくると違うものに見えたりする。


 

あの日は雨だった。


嫌だったなぁ。


 

だった、だったなぁだと少し冷静。


そういう意味では鏡っぽい。


 

 

 

 

稲葉

 

 

 

https://kaddish.jp/blog/13192

BRAND

JOURNAL