誰が言っていたかもはや覚えていないが
匂いで何かを思い出すことはあっても、匂いだけを思い出すことはできないと聞いたことがある。
街中ですれ違った人から香った香水や
初めて入った店なのに何故か親しみ深さを覚える香りがして、どこか落ち着いてしまった経験はないだろうか。
そう言った瞬間的なフラッシュバックは誰にでも実はそこそこな頻度で起きている気がする。
問題はそれをまた一瞬のうちに忘れてしまうこと。
自らの足は目的地へ向かっているし、そばにいる誰かとの会話なんかのほうが優先されがちだ。
“あれ?この香りどこかで、、そうだ、あの時の“
またその逆に、ずっと心の奥に入ってきてしまうような音楽や絵画、写真なんかには、無いはずの何かが“香る“ことがある。
それは正解かどうかではなく、鑑賞者に香るのだ。
香りは記憶を呼び戻すが、香りだけを思い出すことはできない。
でもそれが別の語感、視覚や聴覚のアシストを受けてだったら。
カメラマンしか見たことのないはずの風景に、見る人の記憶が香る事もあると思うのだ。
CONTAX645 Planar 80mm F2/Provia100f
稲葉