「オレのロック、この1曲」。
ロックは結局リフだろうという話の中で、稲葉からこのお題を提起されて考えた。
これは自分のアイデンティティに係わる重要な問題なので、返答にはかなり慎重になる。
オレの1曲というからには、ある程度の音楽を聴いた上で後天的に影響されたものでなく、思春期にガツンと心を奪われ、未だ自分の基盤になっている1曲であるべきだ。
10代から40代というエイジングに耐えてきた、オレの1曲とは何だ。
中高生のころハマっていた初期のパンクやストーンズ型ロック等と、現在の僕はどこかで断絶しているし、ビートルズやはっぴいえんどは、思春期のサルだった僕には知的過ぎた。
あーでもこーでもないと考えた結果、ありましたよ、THE KINKSの「TILL THE END OF THE DAY」が。
高校生の山下少年がカセットテープで繰り返し聴いて、ココを起点にモッズやガレージパンクにハマリ、その後バンドでコピーした曲。
これは今でもオレの中核にある1曲、しかもシングルバージョンでなく、絶対に当時聴いていた「LIVE AT THE KELVIN HALL」1曲目の、性急なバージョンなのだ。
ヨシ、コレを稲葉にLINEしようと久しぶりに聴いてみたら、アレ?なんか違う。
当時はもっと性急で激しかった記憶があるんだけど、年月の経過が記憶を極端化してるのかしら?
イヤイヤ、そうじゃなくて、当時聴いていたミニコンポ(懐)がオンボロで、カセットデッキの回転数がやたらと早かっただけだ。
山下少年は当時、そうとは知らずに、通常よりテンポが早くてノイジーなKINKSにシビれていたのでした。
そういうわけで、僕の「ロック、この1曲」は、回転数が早くて音質の悪いカセットテープで聴いた、という条件つきの「TILL THE END OF THE DAY」なのです。
山下