稲葉がスタジオボイスのバックナンバーを読みたいらしく、実家から持ち帰ってた1冊をあげました。
90年代、工業高校出身でミュージックマガジンを購読する自分にとって、スタジオボイスの存在は「有名私立のイケてる先輩」的、明確にスノッブなドレスコードを感じてたし、古書店や洋書で探すものだったアメリカンニューシネマやブルースウェーバーの資料が、大型書店の平積みコーナーで得られる、そのコンビニエンスな感覚も鼻につくから、横目でチラっと見てる、だけどイケてる先輩の言動が気になるから隠れてチェックしちゃう、みたいな感じ。
こういうものを見聞きして感化されて大きくなった感覚はあるけど、やや冷淡にいうと「さよなら雑誌文化」って感じです。
だって情報はコンビニエンスどころか無料になって、メイプルソープは「かっこいいTシャツ」になってしまった20年代、傾く経済社会の前に敗れた文化礼賛の90年代は、もはや虚構だったことがバレバレですもんね。
だから、みんな何か持ってる風に見せるのが上手いだけなので、若い人は焦る必要ないから、じっくり本読んだり音楽聴いたり店に行って誰かと話したり、欲しいものが買えるなら買ってみて、必要な労力を使って何かを得よう。
山下