「全ての個人商店はレジスタンスだ」と言ったのは、たしか鈴木常吉だったか。
福岡中心地から車で1時間ほど、家と田んぼの中にぽつりとある、激安の中古レコード屋へ行ってみると、そこは¥150スタートの駄盤の山。
いかにも買い取り仕入れのみの、ややガッカリな商品構成ながら、手ぶらで帰るのは店主に失礼だからと一生懸命に駄盤の山を漁っていると、常連客がやって来て店主と井戸端会議を始めた。
「毎日パートを終えた妻とママ友に手伝ってもらってるんですぅ」
「ネットで売れた500円の盤を出荷しながら、オレ何してるんだろうって思うんですよぉ」
「同業の○○さんは毎日、卵かけご飯で生活してるらしいですよぉ」
あまりに切ない現実がイヤでも耳に入ってくるが、人の良さそうな店主に悲壮感は無いどころか、笑いながら話している。
お願いだから新規のお客さんの前でその話し、楽しそうにしないでぇ…。
僕は4千円分買おうと掴んだレコードを、無理やり追加して5千円お会計したのでした。
山下