毎年長崎で過ごす大みそかは、家族で繁華街に出かけて、いつもの乾物屋さんでかんころ餅(長崎の特産で、さつまいもを練り込んだ餅です)を買うのが行事化している。
その乾物屋のおばちゃんの接客が凄い。
僕の目線がかんころ餅に向くのを素早く察知すると、先ず子供たちに味付海苔を食べさせるという、サービスという名の撒き餌が行われて、2個買うと消費税サービスをプレゼンしてくるので、僕はなす術なく財布を開く。
そんなやり取りのあいだにも、インバウンド旅行客が入店するや否や「イッツ・フェイマス・フード・フロム・アリアケ!」と半ば強引に海苔を口に捻じ込んでいく。
このおばちゃんにとって、味付海苔は武器だ。
鬼に金棒、おばちゃんに海苔。
時代の変化に対応している個人商店の逞しさを見ながら、kaddishも、もっと開いていかなければ、と思うのでした。
山下