ヘタウマロッカーのレジェンド、アレックス・チルトンが、ライブ後の電気の落ちた会場で、3本のロウソクのもとアコギ1本で思いつくまま歌う晩年のライブ版。
オーデェンスが録ったらしく歓声と手拍子が大きなところが、邪魔どころか逆にその場の多幸感を真空パックしたように暖かく響き、特にビーチボーイズ「Wouldn’t Be Nice」の笑い声と合唱に涙腺が緩む。
高木完のラジオ番組にゲスト出演したエンジニア/ミキサーのダブマスターXが「街のこだわりのパン屋さんが、少数のこだわりのお客さんを相手にしながら家族4人で暮らしていくように、僕らは音楽を作っていく」と語るのを聴きながら、皿洗いのアルバイトをしながら音楽活動していたというアレックス・チルトンの、ジャケットに刻まれた笑顔を僕は思い出していた。
Alex Chilton / Electricity by Candlelight / NYC 2/13/97
山下