僕の実家の近くに、父親が勤めていた会社のビルがある。
グレーの建物に囲まれた周囲から、ちょっと浮いて見える、外壁が赤いレンガに囲まれたビル。
どの街も同じように感じる風景の中で、昔からあるものが街のシンボリックな景観をつくっていて、子供のときは分からなかったけど、今は「他の街にないものがここにある、カッコイイ!」とそれを見て思う。
父親が生きていたら「あのビルは、ちょっといいねー」という会話から昔話が始まるかもしれない。
壊されずに在るものには、それだけで意味を残す、と、僕はお盆の帰省をしながら。
山下